レモン汁で歯を磨く、歯磨き後にレモンを擦りつけてケアする、レモンジュースで歯をすすぐ…などレモンを使ったホワイトニングレシピがいくつか紹介されていますが、果たして歯は白くなるのでしょうか?
歯にとっていい方法なのでしょうか?
結論から言えば、NO。
その方法、酸蝕歯(さんしょくし)になる危険があります。
レモン汁で歯磨きすると歯は白くなるのか?
レモン汁が歯にいいと言われる理由として
- 抗菌作用で口内の雑菌を除去する
- ステインを落とし歯の色を明るくする
といったことが挙げられます。
抗菌作用で口内の雑菌除去
レモンには抗菌作用があり、風邪の予防や、消化不良などにも用いられ、細菌の繁殖も抑えてくれる働きがあります。
またレモンに含まれるクエン酸が、口内の唾液の分泌を促して口臭の原因となる雑菌を洗い流してくれます。
唾液は口の粘膜の保護をしてくれるのでドライマウスも解消することができます。
ステインを落とし歯の色を明るくする
湯呑やマグカップについた茶渋(ステイン)は、重曹や、塩、レモン汁などでこすると落ちるという話は聞いたことがあるかと思います。
レモンにはクエン酸が多く含まれているため、しつこい茶渋もすっきりきれいに落とすことができます。
歯に付着したステインも同じように落とせると考えられ、レモンが歯を白くすると言われているのでしょう。
しかし、レモンを歯につけるのはリスクを伴います。
レモンで磨くと強力な酸の力で白くなるかもしれません。しかし歯そのものを溶かしてしまう可能性があります。
酸によって歯の表面が溶ける
レモンに含まれる強力な酸によって、歯の表面に付着した汚れを落とすことはできます。しかしこれを試すのはリスクが大きすぎます。
というのは、
本来、私たちの口内は中性に近い弱酸性(pH6.8~7.0)の環境に保たれています。
ちなみにpH値は数字が小さいほど酸性が強く、大きいほどアルカリ性が強いことを表しています。
お口の中で唾液が十分に分泌されている状態であれば、酸を洗い流し中和してくれるので問題ありませんが、口の中が酸性に傾くと歯の表面を覆っているエナメル質からリン酸カルシウムの結晶が溶けだしてしまいます。
つまり、歯が溶けるということ。
エナメル質は、pH5.5以下になると溶け始めます。これを脱灰(だっかい)と言い、「酸蝕歯(さんしょくし)」を引き起こします。
酸蝕歯とは
歯のエナメル質からリン酸カルシウムの結晶が溶け出してしまうこと。つまり歯の表面のエナメル質が、酸に浸蝕されている状態のこと。
酸を含む飲食物を摂り続けることによって起こる生活習慣病の一つで、虫歯や歯周病に続いて歯を失う原因となる病気です。
そして、レモンのpHはどのくらいかと言えば…
なんとpH=2.0という非常に酸性値が高いものになります。
ちなみにレモンがどれだけ酸性値が高いかというと
胃液 pH= 2 レモン pH= 2 コーラ pH= 2 梅干 pH= 2 ※a 白ワイン pH= 2.30 赤ワイン pH= 2.63 りんご pH= 3 食酢 pH= 3 ※s 栄養ドリンク pH= 3 梅酒 pH= 3 スポーツ飲料 pH= 3.5 ビール pH= 4 ※4.0~5.0 日本酒 pH= 4 ※4.3~4.5 果汁ジュース pH= 4 ヨーグルト pH= 4 白米 pH= 4 バナナ pH= 5 炭酸飲料 pH= 5 焼酎 pH= 5 ※8.0 ウイスキー pH= 5 コーヒー pH= 5 醤油 pH= 5 トマト pH= 5 肉 pH= 5 参考主な食品・飲料のpH値の一覧
レモンは、なんと胃液に続いて次に酸性値の高い食べ物になります。
その強力な酸の威力で、同時に歯のエナメル質をも溶かしてしまいます。
歯のエナメル質はクリーム色した象牙質を覆っています。エナメル質が溶けることで象牙質がむき出しになってしまいます。そうなれば、逆に歯が黄ばんでみえてしまい、むき出しになった象牙質は知覚過敏の症状を訴えます。
これは、レモンで歯を磨く…ということだけではなく、普段の食生活でも気をつけなければなりません。
レモンのほか、炭酸飲料やグレープフルーツやオレンジ、ミカンなどの柑橘系の果物など酸性値の高い食べ物を常に摂っている人は酸蝕歯になる可能性が高くなります。
特にダラダラ食べるのはよくありません。
飲食後は速やかに水で口をゆすぐ、お茶を飲むなど口の中に留まる時間を短くするを意識しましょう。
一度削られた歯の表面は自然に治癒することは不可能です。
大切な歯を守るためにも、しっかりとした知識を身につけてセルフホワイトニングを行いましょう。
そして、間違っても、レモン汁で歯を磨くということはしないように。
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やってはいけない危険度ランキング
自宅にあるもので簡単にできるホワイトニング。
手軽でリーズナブルにできるので試してみたい気持ちになりますが…
ちょっと待って!
それはもしかしたら危険かも?